しびれの原因は多種類あり、放置して問題がない場合と、急いで治療しなければいけない場合とがあります。
脳こうそくや脳腫瘍などによる場合もありますが、実際にはそれ以外の原因のことが多いようです。
頚の骨のゆがみや椎間板の変性により、脊髄や脊髄神経(神経根)が圧迫されてしびれます。頸部伸展・圧迫テスト、レントゲン、MRI、などで診断が可能です。
通常は肩こりや肩甲骨の内側のこりなどを伴うことが多く、脊髄が圧迫されている場合は下半身の脱力・しびれを伴うこともあります。
神経根の圧迫であれば、「小指側がしびれる」とか「親指側がしびれる」などの傾向が強くなります。
手首、肘などの神経の通り道を作っている靭帯組織が何らかの理由で腫れたり、むくんだり、硬くなったりすることで慢性的に神経が圧迫されて症状が出ます。
妊婦、透析患者さん、手を良く使う人などに多いようです。
朝方に症状が強く、やはり親指側がしびれる、小指側がしびれる、などの傾向が明らかです。
頚椎のものと同様の原理で、臨床的には坐骨神経痛・腰痛、ひどい場合は排尿障害が現れることもあります。90%の方は手術をしなくても社会復帰可能のようですが、痛みを繰り返す場合は固定術やヘルニアの摘出術、減圧術などの治療が必要になります。もちろん、腰椎ヘルニアで手のしびれがくることはありません。
これらの場合は症状が突発しますし、言語障害や意識障害を伴うので、慣れたドクターが診察すればすぐに診断がつきます。しかしCTなどを撮ってみないと「こうそく」か「出血」かの区別はわかりにくいこともあります。但し、「一過性脳虚血発作」といって、いわゆるこれらの「前ぶれ」の発作の場合は、数時間「半身麻痺、言語障害」が続いた後にきれいさっぱり症状が改善することがあります。
この場合、頚動脈や脳内動脈にかなり細くなった部分があることが多く、脳こうそく予防の治療が必要になることが多いようです。
脳腫瘍、多発性硬化症、などにより症状が現れます。症状はゆっくり現れ、徐々に進んでいくことが多いようです。しびれだけでなく、言語異常、痴呆、筋力低下などを伴うので、頚椎症や腰椎ヘルニアとはだいぶ症状が異なり、区別は比較的容易です。
手足の末梢の神経そのものが何らかの原因(自己免疫疾患、ウイルス感染、代謝性疾患など)でしびれることがあります。原因が不明なものも多く、診断に苦慮します。ハンマーで腱をたたいたときの反射(膝やアキレス腱など)が消失あるいは遅延します。また末梢神経伝導速度試験で異常がわかることもあります。その他筋電図なども診断には有用です。
めまいを伴うこともあり、運動神経の障害を合併すると歩行や呼吸に障害がでることもあります。